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遠海准司|ドラマー名鑑|Drummer JAPAN

「和製ホラー」と「痛絶ノスタルジック」という唯一無二のコンセプトを掲げ、日本のヴィジュアル系シーンにおいて独自すぎる地位を確立したバンド、己龍(きりゅう)。その屋台骨として、重厚なメタル・グルーヴから和風の変拍子までを自在に操るドラマーが遠海准司(とかい じゅんじ)である。彼のプレイスタイルは、SIAM SHADEの淳士やANGRAのアキレス・プリースターといった偉大なメタルドラマーたちからの影響を素直に昇華させた、極めてフィジカルで手数・足数の多いものである。己龍という圧倒的な世界観を持つバンドにおいて、彼のドラムは単なる伴奏ではなく、楽曲に和の恐ろしさと美しさを付加する重要な「語り部」として機能している。明るく親しみやすい人間性と、ステージ上での鬼気迫るプレイとのギャップもまた、彼が多くのファンに愛され続ける理由である。

基本プロフィール

ドラマーとしての特徴:和のホラーを彩るメタル・グルーヴ(プレイスタイル詳細)

己龍の楽曲は、日本の伝統的な音階や和楽器のサンプリングを多用しながらも、底辺には極めて重厚なラウドロック・メタルの血が流れている。遠海准司のドラミングは、この和とメタルのハイブリッドをリズム面で完璧に成立させるための最強の武器である。
彼のプレイスタイルの根幹は、ブラジルの至宝・ANGRAのアキレス・プリースターや、SIAM SHADEの淳士から系譜を受け継いだ「テクニカルかつダイナミックなメタル・ドラミング」にある。彼の右足と左足が繰り出す高速ツーバスの連打は、バンドの強烈すぎるコンセプトに負けないだけの圧倒的な音圧と説得力を持っている。特に、曲の展開が目まぐるしく変わる己龍の楽曲群において、彼のツーバスは「ここぞ」という場面で地響きのように鳴り渡り、楽曲の猟奇的な雰囲気をブーストさせる。
また、彼のタム回し(フィルイン)の構築力の高さも特筆に値する。多点キット(多数のタムとシンバルを並べたセット)を存分に活用し、音階(ピッチ)を美しくなぞるようなメロディアスなタム回しを得意としている。これは和風の旋律と非常に親和性が高く、まるで和太鼓の乱れ打ちを思わせるような土着的な迫力を生み出しているのである。
さらに、彼のドラムからは「ヴィジュアル系ドラマーとしての華」が強烈に放たれている。極限まで派手に装飾された衣装や和風のメイクを身に纏いながら、複雑な変拍子を一切のブレなく叩き切るその姿は、歌舞伎の「見得を切る」ような演劇的カタルシスを観客に与える。彼のアクション一つ一つが、己龍というバンドの「和製ホラー」の世界観を完成させるための重要なピースとなっているのだ。

キャリア年表:静岡の音楽少年から「和製ホラー」の体現者へ

10代〜2000年代前半:バンド活動の原点とメタルの洗礼
静岡県湖西市に生まれた彼は、音楽に目覚めると共にハードロックやメタルの洗礼を受ける。特にSIAM SHADEや海外のパワーメタル等から強い影響を受け、ドラムの技術を独学と実践の中で磨き上げていった。地元静岡を中心にいくつかのインディーズバンドで経験を積む中で、ツーバスの高速連打や変拍子の処理といった、のちの己龍で必要不可欠となるテクニカルな土台を構築していく。
2000年代後半:己龍の結成と独自のコンセプトの確立
2007年、彼にとって運命の転機となるバンド「己龍」が結成される。コンセプトに「和製ホラー」と「痛絶ノスタルジック」を掲げたこのバンドは、当時のヴィジュアル系シーンにおいても異色の存在であった。遠海准司の強靭なメタル・ドラミングは、黒崎眞弥(Vo)の呪詛のようなボーカルや、九条武政・酒井参輝が紡ぎ出す和風のギターリフと見事に融合し、バンドのサウンドに他者には真似できない「重さと禍々しさ」を与えた。
2010年代〜:日本武道館の到達と「ふるさと大使」への就任
己龍は着実にファン(バンドの呼称では「子龍」)を拡大し、インディーズシーンの頂点へと上り詰める。全国47都道府県の単独巡業(ツアー)を幾度となく敢行し、その圧倒的なライブ本数によって遠海准司の体力とドラムスキルは限界を超えて磨き上げられた。2015年には悲願の日本武道館での単独公演を成功させ、文字通り日本を代表するヴィジュアル系バンドの一つとなる。
さらに2018年には、彼の故郷である静岡県湖西市から「ふるさと大使」に任命されるという快挙を成し遂げる。ヴィジュアル系のドラマーが地方自治体の大使に任命されることは極めてレアなケースであり、彼自身の真面目で親しみやすい人柄と、バンドの絶大な影響力が公的に認められた瞬間であった。
現在〜:個人としての発信力とシーンの牽引
バンド活動と並行して、彼は個人ブログ「我羅駆打楽座(がらくたがくざ)」やSNS、動画配信等を通じてファンとの積極的な交流を行っている。機材の解説やドラムの練習風景はもちろん、日常の出来事からアニメ・ゲームへの愛まで、飾らない言葉で発信されるそのコンテンツは多くのファンを魅了している。また、後進の若手ドラマーに対しても気さくにアドバイスを送るなど、ヴィジュアル系ドラムシーン全体を牽引する兄貴分としての役割も果たしている。

使用機材

ドラムキット:多点構成の要塞と和の装飾

遠海准司のドラムセットは、彼のプレイスタイルであるプログレッシヴ・メタルの系譜を正統に受け継いだ、要塞のような多点キットである。ツーバス(またはツインペダル)を基本とし、正面に複数のラックタムを満遍なく配置。これにより、音の高低差を活かした流麗なフィルインが可能となっている。
ライブのコンセプトに合わせて、ドラムセット自体に和傘や提灯、特製の幕などの「和の装飾」が施されることも己龍ならではの特長であり、彼のセットはステージ上における一つの巨大な「舞台セット」としての役割も果たしている。

スネアとシンバルワーク

バンドのダウンチューニングされた重低音の中で抜けの良い音を鳴らすため、スネアは芯のある金属胴や深胴の木胴を楽曲によって使い分けている。(ライブ映像より)シンバル類も非常に豊富にセッティングされており、通常のクラッシュシンバル群に加えて、チャイナシンバル、スプラッシュ、ベルスプラッシュ等のエフェクトシンバルが立体的にマウントされている。和風の楽曲における「カッ!」という鋭いアクセントや、「シャーン…」という余韻の表現は、これら豊富なシンバルをミリ単位の精度で叩き分けることで生み出されている。

主な参加プロジェクト・作品

己龍 作品群(代表作のドラム的観点からの俯瞰)

エピソード

ふるさと大使としての郷土愛

2018年、静岡県湖西市の「ふるさと大使」に任命されたことはファンの間でも大きな話題となった。任命式には己龍のフルメイク・フル衣装で市役所を訪れ、市長と並んで写真に納まるという、非常にシュールかつ感動的な光景が繰り広げられた。彼はライブのMCや自身のブログでも頻繁に地元の魅力を発信しており、その見た目の「和製ホラー」の恐ろしさと、静岡を愛する「地元思いの青年」というギャップが、彼の人間的な魅力を何倍にも増幅させている。(★★★ 本人ブログ・ニュース記事等にて確認済み)

ブログ「我羅駆打楽座」に見るマメさとドラム愛

Ameba等で展開されている彼の個人ブログ「我羅駆打楽座」は、彼のマメな性格とドラムへの深い愛情がストレートに伝わってくる貴重な資料である。ツアー中の機材トラブルにどう対処したか、新しいペダルのセッティングをどう調整したかといった専門的な話題から、メンバーとの他愛のない会話までが克明に綴られており、「恐ろしい己龍のドラマー」の裏側にある「音楽と仲間を愛する純粋な男」の姿をリアルタイムで確認することができる。(★★★ 公式ブログアーカイブより)

ロック/セッションドラマーとしての位置づけ

ヴィジュアル系というジャンルにおいて、確固たるコンセプト(和製ホラーなど)を徹底できるバンドは数少ない。その中で己龍が長年にわたりトップを走り続けられた最大の理由は、「コンセプトに負けないだけの圧倒的な演奏技術」が根底にあったからである。遠海准司のドラミングは、その技術的信頼の最も大きな柱であった。
彼のリズムアプローチは、「ただ激しいだけ」「ただ速いだけ」で終わらせず、常に楽曲全体が持つ「空気感(おどろおどろしさ、あるいは美しさ)」を高めるために機能している。技巧派としてのハードルを自ら高く設定し続け、それをステージ上で華麗にクリアしてみせる彼の存在は、ヴィジュアル系と本格的なメタルの架け橋となる重要なアイコンである。

Drummer JAPAN 人気投票 2025 での扱い

Drummer JAPANによる「日本のドラマー人気投票2025」において、遠海准司は第37位(152票)を獲得した。己龍という圧倒的な動員力を誇るバンドの屋台骨としての実績と、ヴィジュアル系の歴史に「和風メタル」という深遠な足跡を残し続ける彼の貢献度を考えれば、極めて妥当かつ名誉ある順位である。特に、長年にわたりブログや動画を通じてファンと真摯に向き合ってきた彼の人間性に対する「愛」が、この票数には色濃く反映されていると言えよう。

所属バンド/レーベル 変遷

出典

今後追記予定の欠損情報

最終確認:2026-04-19
このページはDrummer JAPANが独自に制作したドラマーアーカイブです。情報は随時更新します。

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