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横井 ジン

映像ディレクターとして時代を代表するバラエティ番組を手掛け、日本のドラマー文化を記録するプラットフォームを一人で立ち上げた男——横井ジンの軌跡は、「プロのドラマーになれなかった」という挫折から始まっている。15歳の冬、厳格な父親の目を盗んで叩いた最初の一打が、その後の人生すべてを静かに決定していたのだとすれば、遠回りなど一度もなかったことになる。


プロフィール

項目情報
名前横井 ジン(よこい じん)
本名横井 仁
生年月日1961年6月24日
出身地東京都
血液型O型
職業映像ディレクター / Drummer JAPAN 主宰
所属ディープラス株式会社(代表・2002年設立)
ドラム開始15歳(1976年頃)
使用機材Roland TD-50 + Pearl Reference Pure(ハイブリッド・現在は売却)
X(旧Twitter)@drummerjapan
Instagram@drummer_japan
公式サイトdrummerjapan.com

ドラムとの出会い

幼稚園からYAMAHAの音楽教室に通い、小学校でピアノを本格的に習い始めた。バイエル下巻を修了し、音楽クラブでは副部長、そして部長へ。先生にも親にも国立音楽大学附属中学への進学を勧められ、その気になっていた少年の人生が根底から変わったのは、ある12月24日のことだった。

テレビに映るビートルズを家族で見ていた、その瞬間だった。「クラシックを習わせておいた親が、こんな前衛的な音楽を見ている」——あまりのカルチャーショックに、人生で初めて親に逆らった。国立音大附属中学の受験を断固拒否し、「なんとかROCKの道に行ってやるぞ」という作戦が始まった。

しかしいきなりドラムは難しかった。青少年吹奏楽団に入団してトランペットを試した。しっくりこなかった。今度は親にギターを懇願した。それも馴染めなかった。そんな試行錯誤の中で横井が選んだのは、こっそりとスネアドラムを購入するという方法だった。続いてキックペダルも貯金で手に入れた。どちらも厳格な父親に内緒で、自分の部屋に隠した。

そして、初めて叩いた瞬間——

「意外にもすんなり叩けた。これはいけるな、という感触がありました。この楽器にかけてみようと」

当然ながら父親にはバレた。しかし横井の決意は変わらなかった。その感触は単なる「向いているかもしれない」という予感を超えていた。思春期の霧の中でパッと明かりが灯るような、自分という人間の方向性を感じた瞬間だった。将来への不安を抱えて生きていた15歳の少年にとって、スネアへの最初の一打は、人生の羅針盤になっていた。


ドラムを手にした横井が向かったのは、高校でのバンド活動だった。Deep PurpleとRainbowのコピーバンドに没頭し、ステージでスティックを振るう日々。憧れの中心にいたのはギタリストのRitchie Blackmoreだった。その影響はプレイスタイルにとどまらなかった——気づけば黒い服しか着なくなっていた。Blackmoreが纏うダークな美学が、10代の横井のアイデンティティそのものになっていたのだ。

テレビ業界への転身と22年間の封印

夢を持つことと、夢で生きることの間には越えがたい壁がある。

22歳のとき、横井はドラマーとしての道を諦めた。プロになる現実的な道が見えなかった。音楽への扉を「完全に封印」し、テレビ業界へと転身する。

1984年、TBS「アッコ・古舘のゆうYOUサンデー!」「時事放談」でアシスタントディレクターとしてキャリアをスタート。翌1985年にはTBS「アッコにおまかせ!」のADとなり、1988年にはテレビ朝日「誘われて二人旅」でディレクターに昇格。その後は日本テレビ「進め!電波少年」「ウッチャンナンチャンのウリナリ!!」、TBS「ブロードキャスター」、テレビ東京「TVチャンピオン」「愛の貧乏脱出大作戦」、フジテレビ「知らバカ」、NHK BS(番組名非公開)など、時代を代表するバラエティ番組を次々と手掛けた。

この時期、横井はもう一つの武器を身につけていた。現場で台本を書き直す必要に迫られてPCを学んだのが始まりだった。映像編集ソフトの習得、そしてウェブサイトの自作へ——v-drums.orgもdrummerjapan.comも、外注ではなく横井自身の手で立ち上げられている。1999年にはノンリニア編集・Adobe Premiere Proの講師として映像教育にも携わり、2002年にはディープラス株式会社を設立。テレビ・映像・ウェブのすべてを一人でこなせる土台が、このころ完成していた。


活動の転機:V-Drumsが封印を解いた日

2005年、横井は弟の家を訪ねた。弟は太田明——元筋肉少女帯のドラマーだ。

「弟の家でV-Drumsを叩かせてもらったんです。本当に驚きました」

22年間、心の奥に閉ざしていたものが、音を立てて一気に解き放たれる。42歳の横井がスティックを握ったとき、時計の針が一気に15歳まで巻き戻されるような感覚があったという。1週間後、彼はイケベ楽器池袋店へ向かい、Roland TD-50とPearl Reference Pureによるハイブリッドセットを組み上げた。「一気に封印が解けて止まらない」——そう表現するほかない感情の奔流だった。

すぐさまウェブサイト「v-drums.org」を自分の手で立ち上げ、V-Drumsの拡張方法やマンションでの電子ドラム防振対策を発信し始めると、全国から同じ境遇のドラマーたちが集まってきた。コミュニティの成長とともにプラットフォームはv-drums.orgから「Drummer JAPAN」へと進化。同年の愛知万博映像制作を皮切りに、2008年の五十嵐公太DVD製作、2010年の教則DVD映像制作と、ドラム界と映像制作の融合が加速していく。


ターニングポイント:ドラムと映像が融合した日

決定的な転機は2008年に訪れた。五十嵐公太のDVD制作を監督する機会を得たのだ。

テレビ業界で20年以上磨いてきた映像制作の技術と、封印を解いて取り戻したドラマーとしての視点が、スタジオのなかで初めて一つになった瞬間だった。「叩く側」ではなく「記録する側」として、日本トップクラスのドラマーと向き合う——22歳で諦めた夢が、まったく違う形で実現していた。

この仕事を機に、プロドラマーたちとの交流が一気に広がった。現場で間近に見て、話して、学ぶ。映像ディレクターとして現場に立ちながら、ドラマーとしての耳と目で本質を捉える。その両方を持っているのが横井ジンという人間だった。たくさんのプロドラマーと深い交流を重ねるうちに、Drummer JAPANの方向性が明確になっていった。

ドラマーを「記録する」のではなく、ドラマーの「ストーリーを可視化する」。映像とドラムの融合——それがDrummer JAPANの核心であり、横井仁という人間にしかできない仕事だという確信が、ここで生まれた。

配信・メディア活動

ウェブサイトにとどまらず、横井は複数のプラットフォームでドラム文化の発信を続けてきた。ニコニコ生放送ではコミュニティ(co481620)を開設しライブ配信を展開。同サービスは2024年8月のサイバー攻撃によりサービス終了となったが、そこで育まれたコミュニティ文化はDrummer JAPANの礎となった。ツイキャス(@drummerjapan)では「電子ドラム セットアップ」「お酒とドラムと雑談」「DTM学習配信」など、ドラマーの日常に寄り添うコンテンツを配信(現在お休み中)。YouTubeチャンネルは2014年に開設し、映像ディレクターとしての技術を活かした動画を展開している。


機材情報

機材詳細
電子ドラム(元)Roland TD-50 + Pearl Reference Pure ハイブリッドセット(マンション問題により売却)
映像編集DaVinci Resolve / After Effects
音楽制作Ableton Live
その他DAW / DJ機材(2022年導入)/ 4K編集対応(2020年〜)

映像とドラムの融合へ

「遠回りをしたようですけれども、決してそうではない」と横井は言う。

台本を書き直すためにPCを覚えた。その延長でウェブを自分で作れるようになった。映像もドラムも、ウェブも配信も、すべて一人でこなせる土台が気づけば整っていた。そして今、AIという新たな道具が加わった。取材・執筆・編集・公開まで一人で回せる体制が、かつてないほど整いつつある。

1984年のAD時代から積み上げた映像制作の技術、台本の書き直しから始まった自走力、ディープラス株式会社という法人基盤、ニコ生・ツイキャス・YouTubeで育てたコミュニティ——すべてが「日本のドラマー文化を映像で残す」という目的のための布石だったと、今ならはっきりわかる。

Drummer JAPANを2000人超のドラマー文化アーカイブとして成立させること。それが横井仁の、残りの人生をかけたテーマである。

「スティックを握って志した瞬間から、あなたはドラマー」——この言葉を誰よりも体現しているのは、Drummer JAPANの主宰者自身だ。


このページはDrummer JAPANが独自に制作したドラマーアーカイブです。情報は随時更新します。

横井ジン
横井ジン
https://drummerjapan.com/
映像ディレクター / Drummer JAPAN編集長 TVディレクターを経て2005年より本メディアを主宰。映像制作のプロとして、また一人のドラマーとして、偉大なプレイヤーたちの軌跡を映像で後世に遺すプロジェクトを牽引。生涯、映像とドラムと共に。

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